令和4年度は、まだ新型コロナウィルス感染のリスクを抱えていたが、①青年期の女性ASDを対象とした半構造化面接を通しての質的分析、②青年期の女性ASDを対象とした自助グループ活動(デイキャンプ方式及び合宿方式)による支援方法の開発を中心に調査研究を進めた。①に関しては、研究分担者の岩男芙美が中心に、20~29歳までの8名の女性ASDを対象としたインタビュー調査を実施した。その結果、現在研究が進んでいる女性ASDに特有な「カモフラージュ」と「自分らしさ」の視点から、「自分らしく」いられる時空間の多様性・気づきの時期・いる時の心身の状態の3点について考察を行なった。なお、これらの成果は令和5年度に開催される学会において報告する準備を進めている。②に関しては、デイキャンプ方式では計4回のプログラム(3回はZoomを活用したオンライン形式)を、日曜日午後に約2~3時間(適宜休憩を入れる)で実施した。参加者:中学2年生から20代までの専門医からASDの診断及び診断告知を受けている女性15名が参加した。参加者が北海道、山口県、福岡市と拡大したこともあり、オンライン形式を採用した。スタッフ:統括責任者の木谷を除いて、全員女性の臨床心理士がスタッフとして進行をサポートした。会全体の進行は、岩男芙美が担当した。この自助グループ活動も5年目を迎えたこともあり、参加者の主体的な発言が増えてきただけでなく、参加者が「自分らしさ」を情報共有しながら、仲間関係を発展しようとする積極的な発言も増えてきた。また、合宿方式(1泊2日)も、感染予防対策について宿泊先と十分に連携しながら、11名の女性ASD者が参加することができた。今回の合宿では、参加者が主体となり、「小さな支援、大きな自由」からわかるように、普段からの自助グループ活動を通しての仲間関係を、さらに合宿の2日間で深めることができた。
|