研究課題/領域番号 |
20K03472
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
高橋 国法 東京都市大学, 共通教育部, 教授 (40422175)
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研究分担者 |
毛利 眞紀 創価大学, 教育学部, 准教授 (50787281)
馬渕 麻由子 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (90772682)
江上 奈美子 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 講師 (80708793)
齋藤 暢一朗 北海道教育大学, 大学院教育学研究科, 准教授 (90722091) [辞退]
藤岡 大輔 北海道大学, 学生相談総合センター, 講師 (00812380)
今江 秀和 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (00736358)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 学生相談 / 心理面接の評価票 / 心理的成長 / 効果測定 |
研究実績の概要 |
学生相談面接評価尺度(CCAS)の項目選定の資料収集のため、学生相談カウンセラーを対象とする自由記述式調査を行い、カウンセラーが心理面接の効果、および大学生の心理的成長として評価する学生の変化の領域を明らかにした(馬渕他,2023)。 また事例研究論文の質的メタ分析では、カウンセラーは心理面接において学生生活で起きる、学修や対人関係などの現実的な適応に関する事柄を扱いながら、臨床像や成育歴・生活歴、クライエント-カウンセラー関係からの情報を加味し、クライエントの心理面の理解を深め、総合的な理解に至り、面接方針を立てていることを描出した(髙橋他,2023)。 さらに、これらの資料を基に、CCASの学生用の質問紙を作成するための調査を実施し、因子的妥当性を検討した。その結果、大学生活適応尺度として学修、就活・進路、対人関係、家族関係、健康状態の5因子から成るモデルを、内面的変化を測定する尺度として自己理解、自己肯定感、主体性、視野の広がり、対処能力、情緒の統制の5因子から成るモデルを採用した。構成概念妥当性の検討の結果、全ての因子において予測していた尺度との間に強い相関が確認された(毛利他,2023a;毛利他,2023b)。 並行してCCASのカウンセラー用の評価票項目も作成しており、今後、学生用とカウンセラー用を併せてCCAS試作版として学生相談の現場で試験的に使用し、実際の心理面接で使用可能なものとなるように調整する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カウンセラー用の評価票項目の作成において、2つの質的研究の所見を参照しながら、研究者全員で協議を重ねた。そのため、項目を決定するまでに半年以上を要した。また事例研究の質的メタ分析の「変化」と「変化の要因」に関しても慎重に分析を行ったため時間を要した。このような事情が重なり、研究全体の進行が当初の予定より遅れる結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
事例論文の質的メタ分析の結果について学会で発表した内容を論文化し、まだ発表していない内容は学会で発表し同様に論文化する予定である。また、学生用とカウンセラー用の質問紙ならびに評価票を用いてCCASのパイロット版を完成させ、臨床現場でデータを収集し、実際の運用が可能になるように検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は2023年度中に学生相談カウンセラーにCCASのパイロット版を用いた研究への協力を依頼して調査を行う予定であり、そのための経費の支出を見込んでいた。しかし研究が遅れたためその予算を使用することができなかった。今年度は、CCASパイロット版を用いて調査研究を進め、それに係る経費を使用する。また、資料の購入や論文投稿の際の英文校閲料、採択論文の別刷り料、旅費等の研究発表に係る経費として使用することを予定している。
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