本研究では,マウスにおける数的認知の2つの側面を調べるために一連の実験を行った。まず,数量を空間的配置(例えば,小さいのを左,大きいのを右)に対応づけるメンタルナンバーラインを検討した。被験体ごとでは,数量の大きさを左右の空間配置に対応づける傾向がある程度一貫して見られたが,被験体間で一致してはいなかった。次に,アンサンブル知覚を検討した。アンサンブル知覚では,マウスが複数の物体を同時に知覚し,「平均値」などの要約統計量を弁別手がかりにするか検討した。マウスは要約統計量に基づいて刺激を弁別することができた。しかし,要約統計量以外の説明可能性も残っており,それらを排除することが今後の課題である。
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