研究課題/領域番号 |
20K03540
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
巴山 竜来 専修大学, 経営学部, 准教授 (60755891)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 旗領域 / リー理論 / コンピュータグラフィックス |
研究実績の概要 |
複素旗領域は擬凸か擬凹かの2種類に分類することができる.擬凸である場合はエルミート対称領域,またはそれに似た空間であり,その性質についてはよく知られている.一方,擬凹である場合については,その性質は詳しく解明されていない.この研究では擬凹旗領域について,とくにサイクル連結性と呼ばれる性質に着目し研究を進めた. サイクル連結性の中でも,とくに強いサイクル連結性を持つものは1連結性と呼ばれる.1連結性はワイル群とルート系に関する,ある組み合わせ論的性質と同値である.この点に着目し,旗領域がAIII型またはCI型コンパクト対称空間に含まれるような場合,およびそれに付随する場合に対して,1連結となる同値条件を見つけた.これらの旗領域は二次形式の符号によって定まるが,符号の数値的条件によって1連結性を決定できることが分かった.これはコンピュータによる数式処理システムを援用しながら,組み合わせ論的性質を計算することによって得られた.CI型の場合は過去に得られていたが,この結果はそれを拡張したものである. また当研究で扱っているリー理論の研究は,コンピュータグラフィックス(CG)にも応用があることが知られている.研究の裾野を広げるため,九州大学マス・フォア・インダストリ研究所(IMI)ではCGに関する産学連携型研究集会を主催者として開催した.また大阪市立大で開催されたシンポジウムの市民講演会では,研究のアウトリーチとしてCG,デジタルファブリケーションとの関連について講演を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染症予防のため出張ができず,予定していた共同研究に滞りはあったが,単独に結果を出すことができた.さらに当研究の波及効果としていたCG研究については,その足掛かりとなる研究集会を開催したことにより,今後の進展が期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
感染症対策によって出張可能性や当研究へのエフォートが大きく左右されるため,感染症の状況が見通せない2021年度の計画を立てるのは困難な状況である.それを前提として推進方策を書く.旗領域の研究については,1連結性について残された問題に取り組む.またサイクル連結性とシューベルト多様体に関連する問題にも取り組みたい.これらについては,関連する分野の専門家である九州大IMIの落合啓之氏,鍛冶静雄氏と連携しながら研究を進める.CGについても研究の萌芽となる課題が見えてきた.CG研究者との連携可能性を探索しつつ,関連するカンファランスへの論文投稿を目指して進めたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
出張を予定していた研究集会が中止,またはオンライン開催となったため.コンピュータ・プログラミング補助のための人件費として使う予定である.
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