研究課題/領域番号 |
20K03556
|
研究機関 | 京都教育大学 |
研究代表者 |
宮崎 充弘 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (90219767)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | エールハルト環 / スタンレーライスナー環 / 日比環 / 順序凸多面体 / 鎖凸多面体 / ステーブルセット多面体 |
研究実績の概要 |
本研究は、単体複体から定義されるスタンレーライスナー環と、有理凸多面体から定義されるエールハルト環という、可換環論において重要な研究対象となっている分野を融合し、新しい研究分野を拓こうという目的をもって行われている。スタンレーライスナー環を定義する、単体複体は、単体をつなぎ合わせたものだが、それと同様な方法で、凸多面体をつなぎ合わせた凸多面体複体について同様のものを考え、その可換環論的性質と組み合わせ論的性質の関係などを調べることを目的としている。その際、スタンレーライスナー環においては、各単体に多項式環を対応させているが、多項式環は正規化体積が1の凸多面体のエールハルト環であると認識することにより、有理凸多面体、とくに整凸多面体をつなぎ合わせて得られる多面体複体においても、スタンレーライスナー環と同様な環を定義することができる。 このような環は、単なる思い付きではなく、私の既存の研究の中で現れてきたものでもある。また、エールハルト環など、単項式で生成された多項式環の部分環が正規であればCohen-Macaulayであるという、Hochsterの重要な定理の証明では、本質的にこのような環が考察され、それを定義している多面体複体がshellableであることを利用し、そのCohen-Macaulayを示している。 スタンレーライスナー環、エールハルト環ともに、その専門家は多々おり、様々な知見をお持ちであるので、この研究においては、それら専門家の方々とお会いして、ディスカッションすることにより、新しい観点を探っていくことを研究方法としていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響のため、移動ができずに、今までの所研究ははかどっていない。 そのような中で、グラフ理論で定義されるステイブルセット多面体のエールハルト環に関して調べ、いくつかの結果を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上記のように、本研究は、スタンレーライスナー環やエールハルト環の専門家とお会いして、ディスカッションをしながら進めていく計画であったのだが、新型コロナウイルス感染症の影響で、移動が難しくなり、研究計画が思うように進められなかった。そのため、不本意ながらも、研究の進捗は遅れている状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症には、各国政府がそれぞれ対策をとっておられるが、欧米各国などは、感染の流行の中でも、人々の生活を正常化させていこうとしている。一方、中華人民共和国では、感染を抑え込もうとしているが、本報告書執筆時点の令和4年5月現在においては、その方針がうまく行っていないように見える。そのため、今後は新型コロナウイルス感染症が完全に収まらなくても、人々の生活を正常化させようと動く政府が多くなり、わが国もその方針をとることが期待される。 したがって、今後は徐々に、以前のような活動ができるようになり、研究の進捗の遅れをとりもどせると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
「研究実績の概要」に記載した通り、本研究は、スタンレーライスナー環やエールハルト環の専門家などと実際にお会いして、ディスカッションをすることにより新しい知見、着想を得ることにより進展させるものであるが、新型コロナウイルス感染症の影響により、移動が制限されたため、研究計画にある活動ができなかった。そのため、研究活動を後ずれさせざるを得なかった。 今後はその分を取り戻すべく研究活動を続ける計画である。
|