• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

多面体を用いた3・4次元多様体の微分構造と幾何構造の研究

研究課題

研究課題/領域番号 20K03588
研究機関広島大学

研究代表者

古宇田 悠哉  広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (20525167)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードスパイン / 接触構造 / フロー / シャドウ / Goeritz 群
研究実績の概要

向き付け可能な閉 3 次元多様体上の非特異フローと横断的に交わる分岐スパインをフロースパインとよぶ. ここで, フロースパインの補空間上のフローはコンスタントであるとする. 本課題では, 石井一平氏, 石川昌治氏, 直江央寛氏と共同で, 正フロースパインを定義し, 接触構造に付随する Reeb フローのフロースパインに着目することで得られる, 接触構造と正フロースパインの対応に関する研究を進めている. 特に, 3 次元多様体上の正フロースパインの (イソロピー類の) 集合から (正) 接触構造の (イソロピー類の) 集合への単射を明示的に構成し, これにより, スパインの頂点数を介して接触構造の複雑度を定義することが可能になった. 昨年度までの研究 (本課題の準備段階での研究) に引き続き, 本年度は, 頂点数の少ない正フロースパインの分類,複雑度の低い接触多様体の分類を進めた. また, フロースパインに対して定義される変形と, carry されるフローの可動範囲について考察を行った.
関連する話題として, 絡み目の安定写像の特異点に関する研究 (古谷凌雅氏と共同), 3 次元多様体内の曲面の homotopy motion 群に関する研究 (作間誠氏と共同) を行い, 論文を執筆した. また, ブレイド群と結び目に関する研究 (Sangbum Cho 氏, Arim Seo 氏と共同), 閉 4 次元多様体のシャドウ複雑度に関する研究 (Bruno Martelli 氏, 直江央寛氏と共同), 非輪状な 4 次元多様体のシャドウ複雑度に関する研究 (直江央寛氏と共同), 絡み目の橋分解の Goeritz 群に関する研究 (井口大幹氏, 廣瀬進氏, 金英子氏と共同) に関する論文が査読付き国際誌から受理され, 掲載済み, あるいは掲載待ちの状況にある.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度から開始された本研究課題, 特に接触構造とフロースパインの対応について, 準備段階から既に十分な成果を上げることに成功した. 特に, 理論の土台部分を構築することに成功し, そのブラッシュアップと例の構成の段階へとステップを進めることができた意義は大きい. 得られた成果については既に論文を執筆しているが, 技術的に複雑な議論が多く, 長大な論文となっているため, 論文の再構成を含め, 論文の内容へのアクセシビリティを高めるよう手を加える必要があると考えている.
一方, シャドウを用いた 3・4 次元多様体の組み合わせ構造, とりわけ複雑度について成果を上げ, 発表することができた. 関連する話題として, 絡み目の Goeritz 群を定義し, 幾何群論,力学系的な観点から興味深い性質を見出すことに成功した.

今後の研究の推進方策

上述の通り, 接触構造とフロースパインに関する論文を再編し, 内容へのアクセシビリティを高めることを一つの課題としたい.フロースパインに carry されるフローの力学系は, 2 次元円盤上のグラフを不連続点もつ離散力学系を用いて記述される. 接触構造の Reeb フローの力学系, 特に周期軌道の存在性については Weinstein 予想の肯定的解決により保証されており, さらに精密な研究が行われている段階にあるが, フロースパインを介した組み合わせ的手法による力学系の考察を今後の課題としたい. 特に, 正フロースパインの中で頂点数が最小である abalone について, carry される全てのフローが周期軌道を持つか検証を進めていきたい. また, 4 次元球面内の 2 次元結び目について, シャドウを用いた記述, 複雑度の研究を進めていくことを予定している.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症による影響により,本研究課題に関係する研究集会と研究会に参加し,最新の成果を収集するとともに,同研究集会,研究会に参加予定であった研究協力者と研究打ち合わせを行うという当初の予定を見送ることとなった.こららの事情により,当初の研究計画の見直しが必要となったため,次年度使用額が生じた.次年度, 感染症の状況が落ち着いた段階で先送りにしていた上記計画を速やかに実行する.

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University of Pisa(イタリア)

    • 国名
      イタリア
    • 外国機関名
      University of Pisa
  • [国際共同研究] Hanyang University/Korea University(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      Hanyang University/Korea University
  • [雑誌論文] Four-manifolds with shadow-complexity one2021

    • 著者名/発表者名
      Yuya Koda, Bruno Martelli, Hironobu Naoe,
    • 雑誌名

      Annales de la Faculte des Sciences de Toulouse

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Braid group and leveling of a knot2021

    • 著者名/発表者名
      Sangbum Cho, Yuya Koda, Arim Seo
    • 雑誌名

      Journal of Topology and Analysis

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1142/S1793525321500114

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Goeritz groups of bridge decompositions2021

    • 著者名/発表者名
      Susumu Hirose, Daiki Iguchi, Eiko Kin, Yuya Koda
    • 雑誌名

      International Mathematics Research Notices

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1093/imrn/rnab001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Shadows of acyclic 4-manifolds with sphere boundary2020

    • 著者名/発表者名
      Yuya Koda, Hironobu Naoe
    • 雑誌名

      Algebraic & Geometric Topology

      巻: 20 ページ: 3707-3731

    • DOI

      10.2140/agt.2020.20.3707

    • 査読あり
  • [雑誌論文] "Monodromy groups" of Heegaard surfaces of 3-manifolds - Research announcement -2020

    • 著者名/発表者名
      Yuya Koda, Makoto Sakuma
    • 雑誌名

      数理解析研究所講究録

      巻: 2163 ページ: 47-61

  • [学会発表] “Monodromy groups” of Heegaard surfaces of 3-manifolds2020

    • 著者名/発表者名
      古宇田 悠哉
    • 学会等名
      埼玉大学 談話会 (Zoom)
    • 招待講演
  • [学会発表] Turaev のシャドウとその複雑度2020

    • 著者名/発表者名
      古宇田 悠哉
    • 学会等名
      N-KOOKセミナー (Zoom)
    • 招待講演
  • [学会発表] Goeritz groups of bridge decompositions2020

    • 著者名/発表者名
      古宇田 悠哉
    • 学会等名
      トポロジー火曜セミナー, 東京大学 (Zoom)
    • 招待講演
  • [備考] 古宇田悠哉のホームページ

    • URL

      https://home.hiroshima-u.ac.jp/ykoda/index_j.html

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi