研究課題/領域番号 |
20K03607
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田中 康平 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (70708362)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Topological complexity |
研究実績の概要 |
今年度は,分割された領域上において,境界をまたがず連続的に動作するロボットモーションの設計,およびその複雑さの指標PTC(parametrized topological complexity)の理論構築と具体例の計算を行った. ファイブレーションにおけるPTCの先行研究は行われていたが,一般のファイバー空間,あるいは半順序集合上の分割空間については当時知られていなかったため,理論構築と具体例計算を行った. 最も簡単な例として,三角形で張り合わされた単体複体や,球体がその境界できれい張り合わさった正則なCW複体などは,その全域で境界をまたがない連続な動作アルゴリズムを構成できることが分かった.また,錘や懸垂を頂点や赤道で分割して,その領域の中での動作アルゴリズムの指定の複雑さを考察した.この場合には錘や懸垂の元になっている領域の通常のTC(topological complexity)がこれらのPTC決定に大きく関係していることが示された. さらに,非正則なCW複体については,多くの例において,境界をまたがないアルゴリズムを持つ開被覆は取れないことがわかり,一般の部分空間による分割の最小数に着目した. この結果,非正則CW複体の(一般)PTCはその胞体数,あるいは次元により上から評価されることがわかった.また,位相圏の分類空間としての表示が与えられるような条件の下で,古典的なホモトピー不変量であるLSカテゴリにより,下からの評価が得られた.これらの評価式から,具体例として,球面,ブーケ,トーラス,射影空間などのPTCを決定した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
様々な分割領域のPTCを具体的に計算できたため.
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今後の研究の推進方策 |
分割領域のPTCは,その領域をまたがない動作アルゴリズムを考えるものである.分割領域に境界の包含関係で順序を考える場合,その順序に沿った動きを指定したアルゴリズムが考えられる.このように向きを指定した動作アルゴリズムの複雑さ,DTC(directed topological complexity)と呼ばれ,分割領域の場合には,PTCの一般化と考えられる. 今後はこのDTCの計算を進めていきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定の研究集会がオンライン開催や中止になったため,旅費としての使用が減少した.集会の現地開催などコロナ禍前の状況が回復してきたため,翌年度に旅費および専門家の招聘費用として使用していきたい.
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