転送作用素の漸近摂動を定式化し,固有値,対応する固有関数,双対作用素の対応する固有ベクトルの漸近展開を与えた.特に,漸近展開の係数を1次の係数から高次の係数へ帰納的に与えていく方法により,固有値の一様スペクトルギャップの条件を必要としない又は弱い条件にできるという特徴がある.応用として,無限有向グラフを備えた非共形(non-conformal)反復関数系から生成される極限集合のHausdorff次元について高次漸近展開を与えた.別の応用として,可算状態をもつopen型の摂動MarkovシステムのGibbs測度の分裂現象も一部得られた.
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