本研究課題では、高い超伝導転移温度と高い上部臨界磁場を実現すべく、軽元素ネットワーク化合物、空間反転対称性の欠如、構造多形現象の3つの観点から物質開発と物性解明を進めた。軽元素ネットワーク化合物では新超伝導体(Re,V)2Bを発見し、弱結合BCS理論で説明可能な超伝導であることを明らかにした。空間反転対称性の欠如したβ-Mn型構造超伝導体W7Re13Bに対して、高エントロピー合金的効果の導入に成功し、上部臨界磁場の向上を確認した。構造多形現象を示す超伝導体YRh4B4では、上部臨界磁場が構造タイプで大きく異なる原因を詳細に調べた。
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