研究課題/領域番号 |
20K03882
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中西 秀 九州大学, 理学研究院, 教授 (90155771)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | パッキング / クランプリング / 折りたたみ / フラクタル構造 |
研究実績の概要 |
空間的に広がりのあるものを狭い空間に押し込めた時にどのような構造を取るかというパッキング問題の例として、無作為に丸めた2次元シートの構造を実験的に調べた。 無作為に丸めた紙、セロハン紙、アルミフォイルのmicro CTのデータを解析し、その全体構造、2次元断面、および、紙の上に轢かれた直線等のデータより、それらの構造を構成し質量分布を得た。また、ボックスカウンティング法及びフーリエ変換によるパワースペクトラムより、質量フラクタル次元、構造のフラクタル次元およびHurst指数を求めた。 分析の結果、以下の結果を得た:1)質量分布はほぼ一様だが、大きなサンプルでは中心からの距離とともに密度が大きくなる傾向が見られた、2)紙のサイズ50mm~300mmのデータから、質量フラクタル次元として2.7を得た、3)内部構造のフラクタル次元は、ボックスカウンティング法では2.7、質量分布のパワースペクトラムからは2.5を得た、4)紙上に引かれた直線の平均自乗変位から求めたHurst指数Hは、短い距離の領域では0.9であるが、丸めた紙の慣性半径程度でより小さな値にクロスオーバーする、5)線の密度分布のパワースペクトルはべき乗則に従いその指数は-1.1で、-1/Hに近くHurst指数と矛盾はないが、質量フラクタル次元とは整合しない、6)200mmのセロファン紙およびアルミフォイルを無作為に丸めたものの構造も同様に解析し、フラクタル次元として、両者とも2.6~2.8程度の値を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のために、オンライン講義などの日常業務の対応に追われたことと、出張などが制限されたために、研究協力者との議論が十分にできなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
micro CTのデータ解析からこれまで得られた結果をまとめて論文として出版し、紙のクランプリングの特徴を捉えてそれらのデータを再現するような、統計力学的なモデルの構築とそのシミュレーションを行い、CTデータとの比較することによって、物理的な理解をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、出張ができなかったため、旅費が支出できなかった。次年度以降に使用予定。
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