研究課題/領域番号 |
20K03972
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
高橋 智彦 奈良女子大学, 自然科学系, 教授 (10324956)
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研究分担者 |
岸本 功 山陽小野田市立山口東京理科大学, 共通教育センター, 准教授 (60399433)
関 穣慶 同志社大学, 理工学部, 准教授 (60373320)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 弦の場の理論 / 数値解 / Dブレーン / 超対称性 / 非線形シグマ模型 |
研究実績の概要 |
Identiy-based解のまわりで展開した弦の場の理論の新たな数値解をレベル切断法を用いて構成した。理論に含まれるゲージ変換の自由度に対応したパラメータ変化に対する応答を見ることで、構成した数値解が、KudrnaとSchnablによって構成されていた double brane解とghost brane解に対応していることを見た。これらの解の真空エネルギーは複素数値を取るが、レベルを上げて行くと実数値をとることが期待されていた。本研究では、レベルを上げると同時に、ゲージ変換パラメータを変化させ、エネルギーが実数値をとるかどうかを確かめた。ghost braneについては、この予想を支持する結果が得られたが、double braneについてはエネルギーが実数値となる傾向は見られなかった。また、パラメータ領域の境界値は、タキオン真空と関連した数値解の振る舞いが予想されるが、これを確認するためには、さらにレベルを上げた解析が必要であることがわかった。開弦の場の理論のダイナミクスを明らかにしたという点で研究目的に合致している。 また、4次元超対称非線形シグマ模型の定式化に関する研究を行った。この模型を線形化したゲージ理論に書き直す際、従来では見落とされていた量子異常の効果を取り入れるべきであることを指摘した。量子異常の効果によって修正された理論の有効ポテンシャルを1/N展開を用いて導出し、弱結合相には超対称性を保つ真空が存在するが、強結合相では停留性条件をみたす真空が存在しないことを明らかにした。この研究は場の理論のダイナミクスという点で研究の目的と関連している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
弦の場の理論のダイナミクスという点では研究が進捗しているが、研究計画にあるような閉弦を取り扱うような定式化にまで至っていない。コロナ禍の影響により、研究時間に制約が生じたことや、研究打ち合わせが計画通りに実施できなかったことが一因である。
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今後の研究の推進方策 |
やや遅れているが、計画に沿った研究の実施を継続していく。研究分担者との研究打ち合わせをオンライン等を活用して活発化していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響で、国際学会や国内学会、研究会がオンライン開催となり、研究成果発表や研究打ち合わせが当初計画通り実施できなかったことが大きな理由である。 オンライン対応のための環境整備、コロナ禍の影響が収まった場合に開催される学会、研究会へ参加するために使用していく計画である。
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