研究実績の概要 |
本研究はHSCデータを用いて3つの手法 (手法1. SQLS/BQLSの候補へのHSCのデータを用いた調査, 手法2. 目視による探査, 手法3. 機械学習による探査) により重力レンズクェーサーを探査する研究計画である。 手法1については,HSCの観測の進捗とともに,ほぼ完了した。その結果,確度がとても高い1天体を同定した。2022年度は追観測実施にむけて検討を開始する。 手法2については,もとは電車による通勤時間を用いた探査を計画していたが,今年度も新型コロナ感染対策のため電車通勤を行えなかった。その代わり,在宅勤務中その他の隙間時間に探査を行った。SDSS DR14のクェーサー分光カタログのうち67,329個に対して目視による探査を終え,興味深い113個の天体を抽出した。さらに今年度は,SDSSの測光データに対して機械学習の手法を用いてクェーサー候補を選択したカタログ (Clarke et al. 2020, A&A 639, A84) に対して探査を拡張するプロジェクトも開始した。試験的な探査として,まずは99%の確度以上でクェーサーとされているものうち21,053個について探査を行い,興味深い天体14個を抽出した。2022年度は抽出したこれらの天体に対して詳細な分析を実施し,特に測光カタログに対する探査を拡大する。また,目視による探査の結果,クェーサーがレンズ天体となり遠方のクェーサーを複数に見せているかもしれないという極めて興味深い天体が一つある。この天体については,ジェミニ望遠鏡Fast Turnaroundプログラムでの追観測が採択 (band 1) された。しかし望遠鏡の故障という不運もあり,観測は実施されなかった。2022年9月の公募に再応募する予定である。 手法3については,成果がまだ出せていない。状況の詳細については「進捗状況」に記載する。
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