海底水圧計に基づくスロースリップ検出の最大の困難は、測器のドリフト及び気圧変化や海洋潮汐の影響の除去である。これら雑音から信号を抽出する独自の手法を開発し、伊豆小笠原海溝におけるスロースリップの始まり最盛期そして終局に到るまでの詳細を得つつある。台風中心が海底水圧計アレーを通過する際に大気の気圧最低が海底の水圧最低に数日先行する事実を発見し、そのメカニズムを海洋物理学的に明らかにした。2022年トンガ噴火の際に励起された大気Lamb波の海底水圧記録を解析し、周期300秒付近でそれが熱圏重力波と共鳴増幅している事実を発見し、Lamb波の励起源として60-70km高度での空中爆発説を提案した。
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