研究課題/領域番号 |
20K04872
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
瀧澤 重志 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (40304133)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 空間分析 / 人工知能 / 画像特徴 / 幾何特徴 / CNN / Isovist / フロアプラン / VR |
研究実績の概要 |
2020年度は以下の研究開発を行った. ①空間モデルの開発(3D Isovist型モデルの改良):これまで研究を行ってきた3D Isovist型の画像解析モデルを改良し,実空間の全方位のRGB画像から深度画像を生成する精度を向上させた.さらに,全方位のセマンティックセグメンテーション(SS)画像も入力できるようにした.都市景観画像の撮影と3種類の印象評価実験を行い,各印象を推定するCNNモデルを作成した.球面CNNの精度が悪かったので,CNNに一般的な平面画像を対象としたResNetを用いたうえで,球面画像を等面積で正方形の平面に投影するTobler変換を用いて,正距円筒図法画像のゆがみを低減させて入力画像とした.結果,印象評価モデルの結果は,一般的なRGB画像を用いる場合よりも,深度画像とSS画像を組み合わせた場合のほうが精度の向上がみられた. ②空間モデルの生成(間取りのアクセスグラフの自動抽出):東大の山崎研究室が開発した,不動産の間取り画像から間取りのアクセスグラフを抽出する深層学習の手法を用いて,LIFUL Homesデータセットに収録された5万枚を超える大阪府内の3LDKの住宅の間取り画像から,それらのアクセスグラフを自動的に抽出した.そして,その抽出精度を評価したうえで,アクセスグラフのネットワーク分析などを行った. ③VRを用いた仮想実験環境の開発:提案した手法を検証するために,VRを利用して人の生活行動実験を行うための基盤づくりとして,大学の建物を模した空間モデルをBIMで構築し,UNITYを使って仮想空間を構築した.そして,足にトラッカーをつけて歩行行動を再現する実験を行い,コントローラーを使った場合と比較して,自然な移動を再現できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
以下に理由を列挙する. ・画像を使った3D Isovistの精度・説明力が予想よりも良かった. ・間取りのグラフ化は2021年度から着手する予定であったが,2020年度である程度の成果がだせた. ・VRは,歩行行動という今回のプロジェクトで最も重要な行動を再現できた.
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今後の研究の推進方策 |
研究手法の開発という意味では,研究計画に従い予定通り進める予定だが,3D Isovistの開発がひと段落ついた状況なので,今後は空間のグラフ表現の精緻化や応用にシフトしていく予定である.また,対象空間は,住宅の間取りの他に,2021年に公開された国土交通省のPlateauでよばれる都市空間の3Dモデルを使用することを予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:新型コロナウィルスの流行により,予定していた出張ができなくなり,旅費をほとんど使わなかったことや,必要な機器を他の予算で賄えたことなどから,次年度使用額が生じた. 使用計画:国内外の会議はオンラインになったり延期が続いているが,関連するものには積極的に参加する.研究に必要な機器や3Dデータなど,必要に応じて都度購入することで,予算を適切に使用する計画である.
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