昨年度製作・試運転したアンモニア(NH3)を液状で供給する装置を使用して、ディーゼル機関の吸気に液化NH3を供給することで、軽油をパイロット燃料とする軽油-NH3の混焼運転を行った。 エンジンを用いた実験では、80%程度までのNH3混焼率(NH3と軽油の供給熱量割合)において試験を実施し、これまでよりも高い混焼率でのNH3の影響を実験により確認した。また、パイロット燃料の噴射タイミングを早期化することで、RCCI(反応性制御圧縮着火)燃焼を用いた運転を、NH3混焼率43、54、69、80%において実施した。その結果、69%以上のNH3混焼率では、正常なエンジンの運転ができず、これまでに得られていたRCCI燃焼による未燃NH3や亜酸化窒素(N2O)の低減が達成されないことが明らかになった。 数値流体計算ソフト(OpenFOAM)を用いた解析では、昨年度に引き続き、簡易的なエンジン内の燃焼室のモデルを作成し軽油-NH3の混焼運転時の内部の燃焼反応の解析のための計算を実施した。計算に使用するヘプタン(軽油相当燃料)とNH3の化学反応機構の組合せを作成し、報告されている実験データを用いて検証を行った。検証の結果、作成した化学反応機構は、NH3がヘプタンの着火に及ぼす影響を、概ね再現できることを確認した。さらに、作成したヘプタンとNH3の化学反応機構を数値流体計算ソフトに組み込み軽油-NH3の混焼運転を模擬した計算を実施した。その結果、NH3の増加に伴う燃焼や排ガス性分の変化、RCCI燃焼を用いた際の未燃NH3やN2Oの低減について、数値計算により定性的に再現できた。
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