研究課題/領域番号 |
20K04981
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
松井 猛 群馬大学, 情報学部, 准教授 (50512505)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | マルチエージェントシステム / 社会シミュレーション / 金融市場 |
研究実績の概要 |
社会経済現象における金融市場で取引されている資産価格は,常に変動を続けており,予測を行うことは困難である.つまり,金融取引にはリスクが生じているといえる.そのため,実際の市場では僅かな情報がきっかけとなって市場が乱高下する現象がしばしば発生するが,株式を含む金融市場の状態を解析し,その予測を行うことは株価安定のためにも非常に重要である. 分析手法としてマルチエージェントシステムを用い金融市場へ応用することにより,再現性が低い社会現象に対し,理論や現実の現象と整合する結果を示すことが得られる手法を提案した.具体的には,取引を行う個人がリスクに対してどのような行動をとるのかというリスク選択行動を考慮して分析を行った.具体的にはリスク選択行動に対して回避的・愛好的選好をもつエージェントを用いた分析である.リスク選択行動を考慮することにより,従来手法に比べ,より現実の金融市場に近い結果を得られることが期待される. また,提案手法の有用性を検証するため,リスク回避的行動をとるエージェントとリスク愛好的行動をとるエージェントの二つをモデル化し,シミュレーションを行った.シミュレーション結果として,従来手法よりも不平等が緩和されていることが示された.また,現実の状況をより反映した提案モデルでは,経済成長と不平等の減少の両方を同時に達成できていることが示唆された. 今後の研究の課題としては,シミュレーション結果が現実を再現できているかの検証や,さらにエージェントのタイプを増やしてシミュレーションを行うことなどが挙げられる. また,関連分野への研究成果や応用も得られ,学術雑誌への掲載がされた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
金融市場において取引を行う個人がリスクに対して現実の状況をより反映するモデル化を行った.また,シミュレーションにより提案モデルの有用性を検証した. しかしながら,移動制限処置に伴い,各種学会への参加,情報収集などを行うための調査や連携研究者との打ち合わせがオンラインとなり,十分に行うことが難しい状況であった. また,当初予定していた大規模データを実用的な計算時間内で処理可能となるシステムの開発・実装が遅れているため,計画よりやや遅れていると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
経済・産業界の現実問題に対し,マルチエージェントシステムとしてモデル化するとともに,開発した方法論の応用を試みるとともに,実用的な不完全情報下での社会シミュレーションモデル構築を目指して,システムの開発・実装を行う予定である. また,得られた研究成果について国際会議での発表や学術雑誌への投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に続き研究会および国際会議参加,連携研究者との研究打ち合わせが見合わせもしくはオンラインとなったため,旅費が不使用となり次年度使用額が生じた.次年度使用額については,情報収集,国際会議の参加費および論文投稿料等に使用することを計画している.
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