研究課題
基盤研究(C)
固体材料の焼成過程における電子状態分布観察は,良い材料を調製する指針を得るために重要である.走査型透過軟X線顕微鏡(STXM)は,試料の電子状態の二次元分布を30-50nm程度の分解能で取得することが可能だが,試料周りの光学系が非常に狭いため試料加熱による測定は適用しにくいと言う欠点がある.本研究では,STXMに赤外レーザーの照射光学系を組み合わせることで安定的に試料加熱過程の観察を行うことに成功した.また,本手法を用いて酸化マンガンの還元過程を観察することができた.
軟X線吸収分光
固体材料の調製における焼成処理は,材料の物性を左右する重要な段階である.しかし,焼成過程の空間分解観察は 焼成後の形状的な変化や格子構造の変化などで議論されることが多く,電子状態を空間分解観察した結果を材料設計に役立てるアプローチは少ない.したがって,今回の研究で行われた基礎的な測定で確立された手法は,今後測定試料の種類を増やしていくことによって多くの情報が得られることが期待できると考えている.