通常、固体表面の電子構造は、周期薄膜モデルを用いて行われる。この場合、表面垂直方向の電子のエネルギー準位が離散化されてしまうため、ミリeVのオーダーの正確な電子状態を記述することができない。従って貴金属の長周期再構成表面を特徴づける表面共鳴状態のエネルギー幅やミニブリュアン域のゾーン境界に現れるバンドギャップは周期薄膜モデルでは計算できない。本研究では真に半無限結晶表面の電子構造を計算することにより、これら長周期再構成表面の電子構造を正確に計算した。本研究で得られた貴金属再構成表面の電子構造の計算結果は、今後、光電子分光などの実験において重要な手引きになると考える。
|