研究課題
本研究は、電気二重層トランジスタ(EDLT)の手法を用いて、p型とn型の熱電変換材料の熱電特性を同時に最適化し、新しいコンセプトの熱電変換素子を作製することを目的とする。これまでの研究では、ambipolarトランジスタ構造を用いたPN接合の熱電素子の動作確認を行うため、カーボンナノチューブの両端にSourceとDrain端子を付け、それらにゲート電極に対してプラスとマイナスの電圧を印可し、両端にP型とN型のキャリアを注入することによってP-N接合を作製した。シートの中央(P-N接合部分)に熱を流し込むための電極とヒーターを取り付け、熱流を中央の端子から両端に向けて流した状態で、熱電対で中央の端子と両端の温度を測定し、そこの熱起電力を観測したところ、それぞれ正と負の熱起電力を示すことを確認した。このことから、P-N接合熱電素子が作製できたことがわかる。1対の素子が動作することは確かめられたので、22年度以降は、これらの素子のモジュール化を試みた。しかし、22年度は、手作業で素子を作製したため、各接合における接触抵抗および端子の非対称性から、すべての素子で良好なp-n接合を作製することは出来なかった。23年度は、東大のマテリアル先端リサーチインフラ(ARIM)を利用して、微細加工を行いより正確な接合の作製を行った。直列に2対のP-N接合をつなげた素子と、並列に2対のP-N接合をつなげた素子を作製し、その動作確認を行ったところ、おおむね2倍の熱起電力と2倍の電力を確認することが出来た。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)
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