本研究では有機化学的手法と物理化学的手法を組み合わせることで、サーモサリエント効果を示す分子性結晶の分子設計・分子集積手法の確立を実現し、確立した分子設計指針をもとにサーモサリエント結晶を探索することを目的とした。大きく折れ曲がった構造を有するテトラシアノアントラキノジメタンがサーモサリエント結晶であることを明らかとした。この結晶は高い熱安定性・相転移が関与しないサーモサリエント効果を示す興味深い系であることを明らかとした。上記の例を含め、複数のサーモサリエント結晶を見出しており、分子設計からサーモサリエント結晶を合理的に創製する可能性を示した。
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