芳香族化合物は材料科学など多くの分野で幅広く用いられているが、その骨格修飾法は意外と少なく、いくつかの反応様式に分類されている。本研究では置換基間反発により、芳香環の活性化を達成しており、新たな方法論を提供したという点でその意義は大きい。置換基が嵩高くなるにつれて、骨格の歪みが大きくなり、それに伴って反応性が向上することを系統的な検討により明らかにした。こうして得られた知見は当該分野の研究者にとって有用な情報になる。また、対称なナフタレン骨格を簡便な操作で非対称化することができ、従来法では入手が困難であった骨格が容易に得られることから合成化学的な有用性も高い。
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