質量分析を用いた抗原ペプチドの解析は、実際に細胞外に提示されている抗原情報を直接同定できる唯一の手法であるが、少量検体からの分析に不得手で、その同定感度の低さが臨書検体の分析においては長年の課題であった。研究代表者が本研究で取り入れたイオンモビリティはこの弱点を克服し、少量検体からでも広範な抗原の同定を可能とし、さらにがん免疫療法に有用と思われるドライバー変異を有するネオ抗原の同定をも可能とした。これはがん免疫分野において従来の予測手法を用いた抗原探索と比較して、治療標的とすべき抗原情報の取得がより短時間かつローコスト、そして確実に行えるようになったという点で価値の高いものであると考える。
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