本研究は、シロイヌナズナのPGR5遺伝子に対し、同一の変異を持つにも関わらず異なる生育表現型や光合成能力を示す2つの変異株(pgr5-1, pgr5hope1)を材料に、その違いの原因を遺伝子レベルで解明した。当初、既知の変異株pgr5-1株に対し光合成CO2 固定速度が高いpgr5hope1株に光合成能力の回復変異が存在することが予想された。しかし、解析の結果、pgr5-1株側に光合成を低下させる第2変異(ptp1と命名)が存在することが明らかとなった。また、ptp1変異はPGR5欠損下において、PSIの酸化傷害を助長することで、CO2固定速度の低下を引き起こしていることが明らかとなった。
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