イネの籾の稔・不稔の判別には従来、籾を一粒一粒指で押さえた際の触感により子実の有無を判定する方法や、薬液による子実の染色および籾殻部分の脱色を行ったのちライトテーブル等を用いて籾に可視光を透過させて子実の有無を判定する方法が用いられてきたが、圧迫による構造の破壊や薬液による変性といった不可逆的な変化が籾に生じうる侵襲的な方法である上、多大な労力を要するという課題があった。一方、本研究で開発した方法は非破壊的かつ乾式であるため、稔・不稔の判別に要する労力を軽減できることから、温暖化により発生の増大が懸念される高温不稔の発生実態の把握や対策技術の開発を加速することが期待される。
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