研究課題/領域番号 |
20K06021
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
吉田 康徳 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (40291851)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | イチゴ / 休眠 / 低温遭遇量 |
研究実績の概要 |
イチゴの部位別に休眠を覚醒させた場合の成長動態を解明に関して,葉,クラウンおよび根に対して行った局所的に温度処理の結果,5℃以下の低温に遭遇した時間で表した低温遭遇量は,無加温の対照では,葉部で1680.5時間と最も大きく,次いでクラウン部で814.5時間と大きかったが,根部では412.5時間と最も小さかった.クラウン加温区では,クラウン部で61時間と,無加温のクラウン部と比較して低温遭遇時間が小さく,根部も42時間と小さかった.葉加温+クラウン冷却区では,葉部の低温遭遇時間が45.5時間と葉部の中で最も小さかった.クラウン部は151時間,根部は82時間となり,いずれもクラウン加温区よりも大きかった.しかし,クラウン冷却区の遭遇時間は151時間と,クラウン加温区よりは大きかったが,予想よりも冷却効果が小さかった.根加温区では,根部の5℃以下の低温遭遇時間が0時間と,根を加温していない区と比較して小さかった.根加温+クラウン冷却区では,クラウン部が26時間,根部が0時間となり,葉加温+クラウン冷却と同様に,冷却処理が不明瞭な結果であった.生育に関して,鉄欠障害が発生したため,処理間の違いが不明瞭となったが,葉数の推移は,5月下旬まで,すべての処理区で同程度であったが,それ以降は無加温区の葉数が有意に大きく推移した.休眠打破の指標となる葉柄長の推移は,無加温区と葉加温+クラウン冷却区で有意に大きく推移した.5月上旬頃から無加温区,葉加温+クラウン冷却区の葉柄長が大きく,その後も大きかった.収穫のピークは,無加温区と葉加温+クラウン冷却区で収穫のピークが2回認められた.1回目のピークは両区とも6月下旬にあり,2回目のピークは無加温区で7月下旬,葉加温+クラウン冷却区で6月下旬にピークが認められた.収量に関しては,鉄欠の影響もあり,処理による影響は,不明瞭であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は,イチゴの部位別の温度処理による成長動態を詳細に検討する予定でああったが,栽培期間中に鉄欠が発生したこともあり,低温遭遇量に関しては,ある程度の成果が得られたが,生育に関しては不明瞭な結果が多かった.ただし,今後の研究の進行によって,挽回することは可能と考えている.また,温度処理に関して,葉加温では,トンネル被覆による温度処理によって,高温障害が認められる部分もあり,その対策が必要となったので,次年度は,換気する機能を追加して,対応している.これらの成果を踏まえて,次年度の計画を進めているため,今年度はある程度期待した成果が得られるものと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
イチゴの部位別の温度処理による成長動態に関しては,適した温度処理を実施できるので,期待した成果が得られるものと考えている.今年度に実施する接ぎ木を利用した成長動態に関しても,接ぎ木の精度を高めることで,異なる休眠状態の部位別の接ぎ木が可能になるのもと考えている.休眠に関連する植物ホルモンの消長に関しては,計画した内容を実施するための予備試験を行い,期待した成果を得る予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
イチゴの部位別の温度処理の結果,鉄欠が発生したため,生育に関する検討を一部実施できなかったため,その試験に関係する予算を次年度に回した.また,人件費や学会発表がコロナ禍が影響して,実施できないまたは遠隔での実施であったため,残額が発生した.以上のことから,次年度に予算を繰り越しを行った.
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