研究実績の概要 |
部位別の温度処理した結果,休眠の指標である葉柄長は,加温による効果は,葉≒根>クラウンであったが,冷却による効果は,葉≒クラウン>根であると報告した.しかし,12から3月の5℃以下の低温遭遇は,天候によって変動すること,昼間に高温(23℃程度)に遭遇することもあること,休眠に関連する植物成長調整物質の影響も検討してこなかったので,5℃以下の低温に遭遇中のイチゴで部位別の温度処理と植物成長調整物質の影響を検討した. その結果,部位別温度処理の場合,5℃以下の低温遭遇量は,無加温の対照で,葉,クラウンおよび根がともに約1,900hr以上となった.部位別温度処理したクラ加では,葉と根が約1,900hr以上となったが,クラウンは平均13℃程度なので0hrであった.根加では,葉とクラウンは約1,900hr以上となったが,根は平均13℃程度なので0hrであった.供試した‘はるみ’は低温遭遇量が1,200hr以上で休眠打破されるので,無加温のイチゴと部位別温度処理で加温していない部位は,休眠打破する低温遭遇量であると考えられた.植物成長調整物質を処理した3区は,無加温のため,対照と同じ低温遭遇量で休眠打破した生理状態と考えられた.部位別温度処理の結果は,今回,部位別の低温遭遇量を厳密に制御できたため,クラウン部のみの低温遭遇量が休眠打破に影響することが示された.開花は,2月25日の低温庫内から認められたが,すべてが着果せず,実際の果実収量と果実数は,対照でそれぞれ200gと20個程度と着果する割合が低かった.一方,クラ加は,90gと10個程度と小さかったが,根加は対照と同程度であった.GA,ビビフルおよびGA+PDJで,果実収量は,45,200および35g程度と処理による違いは認められたが,果実数は25個前後と同程度であった.
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