研究課題/領域番号 |
20K06108
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研究機関 | 公立鳥取環境大学 |
研究代表者 |
加藤 禎久 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (40625092)
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研究分担者 |
菱山 宏輔 専修大学, 人間科学部, 教授 (90455767)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 伝統的緑地 / バリ / 位置情報 / 緑地機能 / 人流データ |
研究実績の概要 |
本研究は、インドネシア・バリ島の伝統的家屋敷の一部である小規模な緑地、テラジャカン(以下、TJ)を研究対象にしているため、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴う渡航規制により現地フィールド調査ができなかったことによる甚大な影響を受けた。このように当初の研究計画の実施が非常に困難な状況の中、2021年度は文献レビューを行うとともに、研究の主目的のひとつである、緑地機能を社会・生態学的に包括的に評価する手法開発の一環として関連の国内研究に参加した。
石川県金沢市において新型コロナウイルス拡大前(2019年)と後(2020年)の5月のゴールデンウイーク期間を含む15日間で市民の外出、緑地利用の変化をスマートフォンアプリの位置情報を用いて分析する研究に参加した。近年、情報量や種類が増大するなか、人々の行動を可視化できるGPS位置情報(人流データ)に注目が集まっている。しかし、人流データを用いて緑地機能を評価する研究は少ない。この研究では、緊急事態宣言発令中の2020年は2019年と比べて、金沢市民の外出回数、総外出時間、訪問先の最長距離が減少し、1km以内の徒歩での外出が増え、住居近隣の公園(緑地)の訪問が増加したことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの世界的感染拡大および渡航制限により、2020年度に続き2021年度も予定していた海外調査を行うことができなかったため。終了年度の延長も含めて今後の研究計画を見直している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度こそはインドネシア・バリに調査に行けないと、本研究の要である詳細な植生、アンケート調査を行えず、研究計画が達成できない。例年、8月下旬から9月上旬に海外調査を行っているので、スケジュール調整し、インドネシア入国・日本帰国に関する新型コロナウイルス感染対策情報を収集して、万全の体制で臨みたい。もしこの時期に調査に行けなかった場合は、2023年3月を補欠候補時期としている。
海外調査以外では、背景となる文献のレビュー等、緑地機能の総合的評価に関する研究を行う。具体的には、(1)バリの歴史・文化・宗教についての文献を整理し、TJ植生に影響を及ぼす社会文化的要因を抽出する際のヒントを見出す。(2)伝統的建築における「間」に関する文献を整理する。TJは、家屋敷の門(ゲート)と塀を併せて「ゲート空間」を構成している。つまり、敷地内と外、私的領域と公共領域をつなぐ「境界領域」である。こうした境界領域が日本とバリの伝統的建築ではどのように扱われているのかを、文献を活用して調査する。(3)同様に、生態学の境界領域、つまりエコトーンに関する文献をレビューする。(4)研究の主目的のひとつである、緑地機能を社会・生態学的に包括的に評価する手法開発の一環として関連の国内研究に参加する。
これまで2年度に渡り海外調査を実施できなかったので、終了年度は延長せざるを得ないと考える。その場合、当初3年間の予定のフィールド調査を、2022年度と23年度に凝縮して行うことになる。研究期間の延長を見据えて、海外調査に伴う支出計画などの見直しを進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴う渡航規制により、海外フィールド調査が全くできなかったため。8月下旬から9月上旬に海外調査を予定し、その際の旅費および謝金に使用予定である。
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