北半球における温帯林は約2万年前の最終氷期最盛期に南方に分布域を後退させていたものが、その後の気温上昇に伴って北に分布を拡大してきたと考えられてきた。しかし、最近のDNA解析技術とコンピューター解析手法の発展によって、温帯林の植物がこれまで考えられてきたよりも北方で最終氷期に生き延びていたことが明らかになり、氷期の厳しい環境下で生物が逃げ込んで生存していた逃避地(レフュージア)が次々と発見されつつある。一方、日本列島では北海道と日本アルプスの一部を除いて、氷河に覆われていなかったため、各地にレフュージアがあった可能性が高いと考えられる。本研究では温帯林の潜在逃避地が複数箇所示すことに成功した。
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