アオリイカは重要な水産資源であり、本種の資源を維持・増殖するため、各地で人工産卵床「イカシバ」が設置されている。本研究は、産卵期の親イカの産卵回遊生態やイカシバの利用実態、さらにはDNA多型解析によって繁殖生態の解明を試みた。三重県引本湾において、親イカ7個体に発信器を装着し、追跡した。その結果、5個体は同湾に留まっていた。そのうち2個体は高頻度でイカシバに接近していた。20尾の雌イカとそれらから採集した精莢を用いて、DNAマーカー7座による父兄判別を行った。その結果、全ての雌で多回交接を示した。これら得られた知見は、アオリイカの人工産卵床の設置や資源管理に有益な情報となるだろう。
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