本研究では、日本近海における外国漁船の操業が日本漁業に及ぼす影響の把握を試みるとともに、安全保障の観点から漁船漁業への外国人労働力導入拡大が内在させる課題の表出等を試みた。分析の結果、東シナ海では中国漁船の展開が引き続き活発で、日本のまき網漁船や底びき網漁船、はえ縄漁船等の操業が制限される状況があった。北部太平洋等では、ウクライナ侵攻を後景に日本漁船に対する「臨検」や拿捕リスク等の高まりが懸念されると同時に、一部ロシアトロール漁船の日本近海への展開意欲の高まり等がみられた。かかる状況下で、日本漁船では外国人依存を拡大しており、漁場ならびに人材の確保という両面で安全保障上の課題が顕在化していた。
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