研究課題/領域番号 |
20K06289
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
冨吉 満之 久留米大学, 経済学部, 准教授 (20506703)
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研究分担者 |
廣田 勲 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教 (50572814)
篭橋 一輝 南山大学, 国際教養学部, 准教授 (60645927)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 種苗交換会 / オーガニック直売所 / 小規模農地 / 地域固有 / 飛騨美濃伝統野菜 / 認証委員会 / 植物学的特徴 / Seed Commons |
研究実績の概要 |
新型コロナの影響で、海外での現地調査が難しい状況が続いたため、文献レビューや国内調査などを中心に課題に取り組んだ。まず、中国における作物遺伝資源の管理について、フォーマルセクターの実態に関する情報収集を進めた。また、中国国立ジーンバンク(CNGB)などの資料から、現在(2014年時点)中国国内で栽培されている穀類の品種数は、約60年前と比較すると70%近くが消失していることが分かってきた。 次に、国内ついては、長崎県雲仙市の先進的事例についての現地調査、熊本県内で行われた「種苗交換会」への参与観察を行った。調査結果をもとに、自家採種の実践者の傾向や参加者の特徴について分析を進めた。以上により、九州におけるネットワークを強化することができた。また、これまでの岐阜県内の現地調査において、地域固有の野菜を複数発見している。その中のアブラナ科の野菜について、県の飛騨美濃伝統野菜として認定するために、認証委員会において議論を行った。 理論面については、タネのコモンズ(Seed Commons)に関する既存研究のサーベイを中心に行った。フランスにおける在来品種のタネの維持管理システムの特徴や、タネのコモンズという概念の新規性に関する検討を行った。 食農環境研究会を2回開催した。第1回は役畜農耕文化複合についてゲストから講演いただき、特に、牛耕からみた食農文化の継承について議論を行った。第2回は、これまでに調査してきた久留米市北野町の山汐菜を取り上げ、ゲストから話題提供を受け、他県の事例と比較しながら販路の特徴について検討した。 以上と並行して、小規模な農地において、地域固有の作物が残存しやすい条件、東アジアの種子管理の在り方について、書籍の原稿として取りまとめ、その特徴を明らかにした。このように2021年度は研究、実践の両面を含む活動を行うことができた。
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