野生動物の警戒行動を増減させる要因として、対象物の視覚刺激に着目し、新奇物に対する警戒行動の種差・個体差を定量化した。初期警戒行動についてはニホンジカ、イノシシ、タヌキ、アナグマ、ハクビシン、アライグマを比較することで、種による行動様式の違いや、同種内での個体差が明らかになった。新奇物の動きの有無が初期警戒行動から慣れに及ぼす影響については、イノシシと比べるとアナグマは警戒反応が低いこと、慣れまでが速いことが示唆された。「動き」はいずれの動物種でも警戒行動を高めることが示唆されたが、その影響は僅かであり、単に動きを付加しただけで野生動物の行動を制御できるほどの影響はないと考えられた。
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