研究課題
本研究では次世代シークエンスの情報を元にしたFAV病原性株及び非病原性株の発現解析によるウイルス遺伝子予測・解析、そしてコスミドベクター系を用いた組み換えウイルスによる病原性関連遺伝子の同定を目的としている。病原性株として使用するJM1/1株は他のFAV株とは異なり、単独感染で病原性を発揮することから、JM1/1株を非病原性株であるCELO株と比較することで、特定遺伝子の配列あるいは発現の違いによる病原性因子同定に用いることが出来ると考えている。前年度までの進行及び新型コロナウイルスの影響による試薬の不足から、最終年度は前年度予定通り、大腸菌を用いた組み換えタンパク質から抗体の作成とタンパク質の機能解析を中心に進めた。複数のORFをクローニングし、大腸菌発現系を用いたタンパク質発現・精製する事により免疫源となるウイルスタンパク質を作成した。それらを抗原として用いてウイルスタンパク質に対する抗体を作成した。免疫血清を用いたWBやIFAにより、これまでJM1/1株ではタンパク質発現が確認されていなかったORF1、ORF20、ORF0等複数のORF由来のタンパク質が、感染細胞で発現している事を確認する事が出来た。特にdUTPaesドメインを持つORF1にスプライシングによりN末端に新たな55アミノ酸配列が付加された新規のタンパク質発現を確認する事が出来た。また、ヒトアデノウイルスにおいて発現の確認されているU-Exonタンパク質のホモログに関しても抗体の作成に成功し、その発現を確認する事が出来た。これらの遺伝子はknockdownによりウイルス増殖に影響があることも確認している事から、今後はより詳細なウイルス増殖に対する機序を解析する予定である
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Archives of Virology
巻: 167 ページ: 829-838
10.1007/s00705-022-05380-3