研究課題
基盤研究(C)
鶏の大腸菌症は発育不良や死亡率の増加をもたらすため、養鶏産業における経済的損失につながる。本症の原因は、特定の性質を示す、すなわち病原性の強い大腸菌が原因である可能性が示唆されているが、その指標となる性質は明らかでない。本研究では、大腸菌症の鶏から分離された大腸菌の多くが系統発生グループFと称される群に属することが明らかとなった。したがって、養鶏場においてグループFの大腸菌を早期に発見することにより、大腸菌症の予防による生産の改善に寄与する可能性がある。
獣医細菌学
鶏の大腸菌症の原因となる大腸菌を特徴づける菌の性質はこれまで明らかでなかったため、診断や発生予防策の確立が困難である。このことは、人の腸管出血性大腸菌症の原因菌が志賀毒素(ベロ毒素)を産生することが指標となっている状況と、明らかに異なる。本研究における遺伝学的な解析の結果、大腸菌症の鶏から分離された大腸菌の多くが系統発生グループFと称される群に属することが明らかとなったことから、養鶏場で検出された大腸菌のグループを調べることにより本症の予防に私することが可能と考えられた。