ヒトZC3Hタンパク質には58kDaアイソフォームと36kDaアイソフォームの2種類のアイソフォームが存在する。このうち、36kDaアイソフォームは293T細胞での過剰発現系構築および、細胞抽出液からの目的タンパク質精製が比較的容易である。例えば、精製タンパク質を用いたEMSAによる核酸結合アッセイを行うためには、36kDaアイソフォームの場合、10cmディッシュ20枚の293T細胞で可能であるのに対し、58kDaアイソフォームの場合は10cmディッシュ100枚の細胞が必要である。これまでの研究はすべて、36kDaアイソフォームでデータを取得してきた。しかし、実際に生体内で機能しているのは58kDaアイソフォームであるので、ZC3Hタンパク質の機能実験は58kDaアイソフォームで確認しなければならない。ZCタンパク質と結合するタンパク質との相互作用には、58kDaアイソフォーム特異的配列が関与しているとされている。本年度は、昨年度に引き続き、58kDaアイソフォームの精製を行った。昨年度に段階では標的タンパク質が樹脂に吸着してしまい、タグ抗体カラムからの溶出ができないという問題に直面していた。本年度では、カラムからの溶出方法を工夫することにより、標的タンパク質を部分精製を行うことができた。この部分精製タンパク質をさらにイオン交換カラムで精製し、ゲルろ過カラムによる解析を行った。ゲルろ過カラムは、高分子領域が可能であるタイプ(Superose 6 Increase)のものを新たに導入した。
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