研究課題/領域番号 |
20K06623
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
名田 茂之 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (50291448)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | mTORC1 / Ragulator / goblet cell / Gator1 / DEPDC5 / PP2A |
研究実績の概要 |
・腸上皮特異的p18コンディショナルノックアウトマウスの解析 マウス腸上皮組織におけるp18コンディショナルノックアウトにより、腸上皮クリプトの形成・成長と杯細胞分化についての解析を主に大腸組織にて行った。p18のノックアウトされたクリプトでは、クリプトを形成する細胞数に変化はなかったが、各細胞のサイズが縮小しクリプト全体が矮小化していた。また杯細胞が著明に減少していた。杯細胞分化について調べたところ、Cdx2やKlf4などの調節因子の発現に変化はなく、mucin2などの杯細胞形質の発現にmTORC1活性が必要であることが判明した。 ・Ragulator構造の機能解析 RagulatorはRagA/RagCヘテロダイマーをリソソーム膜へアンカーする機能を持つが、RagCにp18のN末配列を付加することで、RagA/LRagC(Lysosomal RagC)はRagulatorを介せずにリソソーム膜へ局在化する。p18ノックアウト細胞ではLRagCの発現によりmTORC1活性が復活したが、アミノ酸による活性調節に異常が見られた。この異常はRagAのGAPであるGator1の構成因子DEPDC5のノックアウトにより再現されたことから、LRagCには存在しないRagulator構造部分がGator1機能に必要であることが示された。また、アミノ酸シグナルの下流でmTORC1活性化因子であるRhebの活性に影響を与えるホスファターゼとしてPP2Aを同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
p18コンディショナルノックアウトマウスによる生理機能解析については、当初予定の研究計画を完了し、論文として報告した。 Ragulator構造の機能解析については、リソソーム局在型RagC(LRagC)によるmTORC1活性化と制御破綻のメカニズム解析についてはほぼ完了し、第一報となる論文報告を行った。さらにRagulator結合タンパク質の同定のための共沈実験系を構築している。
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今後の研究の推進方策 |
Ragulator機能にかかわるRagulator結合タンパク質の同定について、p18をベイトとした共沈実験系の構築を進める。これまでにV-ATPase等のRagulatorと共沈する既知のタンパク質群が安定して検出可能な実験系は確立できた。本研究ではその実験系に加えて、従来の実験との差別化にあたるp18やRagulator構成因子変異体を用いた共沈実験系の構築を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗に合わせて必要な実験のための研究費を執行した。そのため当初の見込み額より執行額が少なくなった。しかしながら研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。
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