Ragulator構造の機能解析について、昨年度までの相互作用分子の解析からRab7を一つの候補として検出した。本年度はRagulatorとRab7の機能相関について解析を行った。 Ragulatorの機能を欠損したp18KO細胞ではリソソームは小型化し、細胞の周縁部に分散する傾向が見られることを以前に報告している。p18KO細胞とp18の発現を回復させたp18Rev細胞にRab7の活性消失変異体(Rab7DN)あるいは恒常活性化型変異体(Rab7CA)を発現させたところ、p18KO細胞ではRab7DN発現時にリソソームの大型化と周縁部への分散が抑制され、p18Rev細胞にRab7CAを発現させた場合にはリソソームが小型化し細胞周縁部へ分散する傾向が見られた。このようにRab7の活性を人為的に変動させることで、p18KO細胞で見られるリソソーム表現型が逆転することが判明したので、Ragulatorの機能の一つとしてRab7の活性抑制が存在し、p18が欠損することでRab7活性が上昇している可能性が考えられた。RagulatorとRab7の物理的な相互作用を介したRab7の活性調節系を明らかにするために近接ビオチン修飾を用いたRab7あるいはRagulator相互作用分子について再度探索を行ったが、Rab7の活性に直接関わり得る活性調節因子については明確な候補を検出できなかった。またp18KO細胞内でのRab7活性の測定を検討したが、こちらについても有効な活性測定手段が確立できず、Ragulator機能の欠損によるRab7活性の変動を観察することはできなかった。
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