本研究では、淡水二枚貝類への繁殖寄生のため産卵管という新奇形質を獲得したタナゴ亜科魚類を対象として、繁殖ニッチ分化を駆動する雌繁殖形質に焦点を当て、この形質の多様化を引き起こす分子遺伝機構の一旦を描き出すことを目的とした。特に、産卵母貝分化と関連したタビラ種内変異をモデル系とした詳細な解析から、2つの繁殖形質において重要かつ新規的な成果を得た:(1)産卵管の伸長機構や産卵管長の適応的分化のトランスクリプトーム基盤、(2)最終成熟に伴いアクチン依存的に伸長した卵細胞の核膜崩壊後の縮幅の差異が卵形変異に関与している可能性がある。
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