研究課題/領域番号 |
20K06803
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
海老原 淳 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (20435738)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | シダ植物 / ゲノムサイズ / 染色体数 |
研究実績の概要 |
ホングウシダ科エダウチホングウシダ類の主に日本産の材料を用いて、核DNAマーカーによる系統関係の解明と、フローサイトメーターによるDNA含量測定と染色体観察を行った。核DNAマーカーについては、前年度までにプライマーを開発したgapCpの1コピーに加え、LEAFY遺伝子を用いることで、安定的に塩基配列を得ることができた。大半のサンプルにおいて根端を用いた染色体数の観察も成功した。これらの解析結果により日本産エダウチホングウシダ類が、少なくとも7種の祖先種を起源として網状進化を遂げた群であることが推定された。本群の染色体基本数は、日本産に限ってもx=43からx=47までの変異が記録されていたが、本研究で確実に観察されたのはx=43と44のみであった。したがって、本群の染色体基本数の変化は従来考えられてきたよりも小さい可能性が指摘された。結果として、当初想定よりも染色体基本数の変化幅が小さくなったため、基本数x=43が確認された個体と、x=44が確認された個体の2群に分けてフローサイトメーターによるDNA含量測定を行ったが、これまでのところ有意な差は得られていない。機器の測定精度が原因である可能性も含めて、慎重に検討を行っている。 より顕著な系統内での染色体基本数の変化を示す分類群としてコケシノブ科があり、国内産ではx=21からx=36まで変化することが知られている。その主要系統の冷凍された組織サンプルを研究代表者が保存している。本年度は、その材料を用いてフローサイトメーターによるDNA含量測定を行ったところ、一部のサンプルでは良好なデータが得られたものの、十分に結果が得られないサンプルもあり、染色体基本数とゲノムサイズ進化の関係性の考察にまでは至らなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
冷凍保存していた生サンプルの一部の細胞の状態が悪く、DNA含量データが得られなかった他、結果が得られたものについても期待した精度が得られないものがあった、現在使用している染色色素がDAPIであることが原因の可能性がある。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、一部で協力者の同行を依頼できなかったことにより予定していた一部の現地採集を見送らざるを得ない状況が発生した。
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今後の研究の推進方策 |
正確なDNA含量測定のため、業者への外部委託あるいは外部機関の機器借用による蛍光色素にPIを用いた測定を検討する。コケシノブ科の材料の状態に起因する可能性があるDNA含量測定の不良については、国内産で可能なものを再サンプリングすることで対応する。
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次年度使用額が生じた理由 |
DNA含量(ゲノムサイズ)測定の一部が機器の不調により遅れたこと、及び材料の現地調査収集が新型コロナウイルス感染拡大の影響で遅れが生じたことによるもの。DNA含量測定については、外部機関からの機器借用等により対応予定である。
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