本研究の成果のうち,もっとも顕著な発見は,ブンチョウのeye ring(目の周りのリング上の皮膚)が,つがい形成後に信号形質と役割を果たしている点である.一般に,鳥類の派手さは配偶者選択との関連で進化したとされてきたが,eye ringは配偶者を獲得した後に機能を果たしているという点で,新規な知見といえる.また,eye ringは血色依存の赤みをおびているが,このような血色由来の色彩が,個体間コミュニケーションにおいてどのように機能をはたしているかは,ヒトを含む動物の社会性と信号進化を考える上でも重要である.
|