本研究では、生態系の安定性変化を俯瞰的に捉える手法を開発し、それが実際の微生物叢の大規模変動の予兆シグナルを与えることを確認した。この手法ではさらに、群集組成の変化の背後にある様々な安定状態とその結びつきを知ることができるため、腸内環境でみられるような、異なる機能を持つ微生物群集組成を結ぶ遷移経路や、そのような遷移を引き起こす微生物、あるいは微生物の組み合わせを特定できる可能性がある。こうした情報をもとに実証実験を行うことで、これまで系統的な技術の確立が困難と考えられてきた、生物間の複雑な相互作用から成り立つ生態系の制御のための新しい技術を実現できる可能性がある。
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