本研究では、鱗食魚をモデルとして、捕食行動の左右性の責任部位、発達プロセス、分子遺伝基盤を調べた。 鱗食魚は、鱗食経験に応じて襲撃方向の好み(利き)が強化される。学習する機会があればいつでも利きは確立できるのか、鱗食未経験の幼魚・若魚・成魚を用いて分析した。どの時期の魚も、初めは左右からランダムに獲物を襲ったが、幼魚は経験を重ねるごとに、生まれつきの顎の形に対応した側から襲撃するようになり、最終的に8割が利きを獲得、若魚も5割は利きを獲得できた。一方、成魚は実験を繰り返してもランダムなままで、1匹も利きを獲得しなかった。つまり、利き獲得には発達初期における鱗食経験が必須であると実証した。
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