研究課題
基盤研究(C)
脳・神経系は、発達に伴い、形や大きさだけでなく機能的にもダイナミックな変化を伴い成熟していく。その中でも、抑制性のシナプス伝達に関して、幼若期では短期シナプス抑圧の性質を示すが、成熟期では短期シナプス増強の性質に変化することを予備実験で見出した。つまり、幼若期では一過性にしか抑制できなかったものが、成熟すると持続的かつ効率的に相手先の神経細胞を抑制できるように切換わることを意味するが、そのメカニズムは不明な点が多い。本研究では、この切換えのメカニズムに迫る実験を行った。
神経科学
神経系における抑制性シナプス伝達の機能的発達は、いまだわかってないことも多く、また、抑制性シナプス伝達の機能不全は、自閉症や統合失調症、てんかんなどの精神疾患にも大きく関与することが知られている。したがって、本研究での成果は、今後、抑制性シナプス伝達を原因とする多くの精神疾患などの原因解明にもつながりうるし、治療方法の開発にも寄与しうると考えられる。