研究課題
基盤研究(C)
記憶は、宣言的記憶や手続き的記憶など複数の種類に分類されている。本研究では、複数の記憶に基づく行動の調節機構の解明に向け、青斑核ノルアドレナリンニューロンが記憶に関与する前頭前野および扁桃体を調節する神経回路メカニズムを検討した。本研究により、前頭前野と扁桃体はそれぞれ異なる青斑核ノルアドレナリンニューロン群と神経回路を形成しており、異なる青斑核ノルアドレナリンニューロン群の活動によって宣言的記憶に基づく行動選択と手続き的記憶に基づく行動選択が制御されていることが明らかになった。
神経科学
長年の記憶研究により、記憶は宣言的記憶と手続き的記憶など複数に分類されており、それらの個々の記憶と行動の関係の理解は進んできている。一方で、複数の記憶に基づき行動がどのように調節されているのかについての知見は乏しい。本研究は、複数の記憶を調節する神経回路メカニズムの一端を明らかにしたことで、記憶機能の包括的理解を進めるとともに、多様な行動を生み出す脳内原理の解明や脳が複数の記憶を獲得した意義の解明に貢献することが期待される