病態生理学的に重要なプロスタグランジン(PG)類の主要な濃度調節因子である膜輸送体SLCO2A1を欠損させたマウスでは、PGE2のみならずPGD2の脳間質液中濃度が減少し、オープンフィールド試験による行動量が低下したことから、SLCO2A1の欠如が行動異常に関わることが明確になった。さらに、脳実質細胞でのPG膜輸送体の発現を検討した結果、アストロサイトではOat3、Slco1a4、Slco3a1、Abcc4、ミクログリアではSlco2b1、神経細胞ではSlco2a1の発現が高いことが判明した。中枢神経系におけるこれらPG膜輸送体機能変動と脳機能との関係解明は今後の課題である。
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