我が国において罹患者数が年々増加している乳がん等のホルモン依存性がんは、概して薬剤感受性が低い上、連続投与に伴って容易に耐性化するため、薬剤耐性化を誘起しない画期的治療法の開発は急務である。本研究を通して、乳がんの薬剤耐性時に高発現するアルドケト還元酵素 (AKR) 1C3が薬剤耐性を誘発する主因であることを示した。また、本酵素の阻害剤を主軸とした他阻害剤との併用はホルモン依存性がんの薬剤耐性を抑制するアジュバント療法として有効であること、並びに乳がん化学療法への白金製剤の適応外使用を可能にすることを示唆した。本研究の更なる進展はホルモン依存性がんの根本治療法の確立に繋がると考えられる。
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