本年度においては,ジアシルグリセロールキナーゼδ(DGKδ)の骨格筋における役割を生体レベルで解明するために,骨格筋特異的欠損マウスの作製を行った.具体的には,昨年度までに導入したLoxP-floxed DGKδマウスとMyf5-CreマウスをそれぞれC57BL/6Jを用いて戻し交配を行った後,それぞれのマウスを交配させ,骨格筋特異的DGKδ欠損マウスを作製した.作製したDGKδ欠損マウスにおいて,体重の減少と骨格筋量の減少が観察されたが,コントロールマウスと比較して1割程度の減少であり,その差はわずかであった.さらに,Myf5陽性細胞の褐色脂肪細胞においても本マウスはDGKδが欠損するが,褐色脂肪組織においても組織量がわずかではあるが減少する傾向が観察された.現在までに,DGKδ欠損マウスにおいて骨格筋形成において有意のある大きな差異は見出していないが,今後,骨格筋や褐色脂肪組織の重量変化等において再現性を含めた検討を行い,さらに骨格筋においては筋再生,褐色脂肪組織においては脂肪形成や糖代謝などへの影響を評価していく予定である.
|