本研究ではうつ治療によって誘導される海馬歯状回の機能変化が抗うつ様行動に寄与するという仮説を立て、うつ治療が誘導する海馬での新生/分化/成熟シグナルを明らかにするとともに、行動に及ぼす影響を解明することを目的とした。本研究の解析から、①抗うつ治療モデル電気けいれん刺激の海馬機能調節には、転写因子SRFの活性化が重要である②歯状回の成熟マーカーカルビンジン・デスモプラキンは神経活動、神経新生、抗不安を維持する因子である③ノルアドレナリンーD1受容体を介した新規抗うつシグナルが存在する④うつモデルでは成熟神経マーカーの発現増大が起こる⑤新生神経の生存が不安様行動と関わっていることが明らかとなった。
|