研究課題/領域番号 |
20K07316
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
三澤 計治 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (10525885)
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研究分担者 |
三島 英換 東北大学, 大学病院, 助教 (00706939) [辞退]
日笠 幸一郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (10419583)
大内 基司 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20409155)
安西 尚彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70276054)
横関 明男 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (90515719)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 尿酸値 / 痛風 / 遺伝率 / コホート研究 / 地域差 / まれな変異 / 統計検定 / カーネル |
研究実績の概要 |
病気の原因には、個人が生まれながらに持つ遺伝的な要因と、個人個人が生活している環境の要因がある。この研究の目標は、個人個人の遺伝的および環境的要因の解明を通じて、より効果の高い治療法の開発に貢献するところにある。 本研究では、我々は尿酸値を研究対象として選んだ。我が国の30歳以上の男性の約3割が高尿酸血症である。尿酸ナトリウムが体内で結晶化すると炎症が生じ、痛風となる。また、高尿酸血症は慢性腎臓病や心臓病の発症・進展のリスクを高めることが知られている。本研究では、世界中の先行研究を調査し、尿酸値に影響を与える遺伝的および環境的要因を調べた。その成果を共同研究者とreview記事としてまとめた。この記事はMDPI biomedicines雑誌にて出版された。尿酸値を上げる分子的機序として、尿酸産生過剰、腎臓からの排泄低下、腸管からの排泄低下がある。特に、尿酸を運搬するトランスポーターをコードする遺伝子の上に起こる変異が、尿酸値に影響を与えることが先行研究から示された。 これら先行研究の知見をもとに、ながはまコホートならびに佐渡コホートを対象にし、尿酸値関連変異を見つけるため、関連解析を行う予定である。令和3年度は、Sequential Kernel Association Test (SKAT)の検出力の検討を行った。SKATの問題点は計算に時間がかかることである。そこで、令和3年には、SKATを高速に計算する方法を開発した。その成果はAdvanced Genetics誌に出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の転勤があったため、論文投稿が予定より少し遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のこれまでの解析で見つかった変異は、実験では尿酸値に影響を与えていることが示されました。また、実験で得られた尿酸取り込みへの影響と、ヒトの尿酸値への影響を定量的に解析した。その際に、性別・年齢、BMI・eGFR、HbA1cなど、尿酸値に影響を与える要素を考慮に入れた。今後は、将来的に痛風予防や治療に役立てるため、変異から尿酸値を予測するモデルを構築する。また、今回変異が見つかったSLC22A12遺伝子以外の遺伝子にも、尿酸値に影響を与える変異がないか調べる。さらに以外の集団に関しても、尿酸値に影響を与える遺伝的変異を探索する
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延のため海外での学会に参加できず、国際学会参加費用ならびに旅費の使用が予定より少なくなった。2022年度は積極的に学会参加し、参加費用ならびに旅費として使用する予定である。
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