抗PD-1抗体を用いる癌免疫療法に近年注目が集まっているが、8割近くの癌では単剤投与による治療効果が期待できないことが分かっており、免疫耐性機構の解明を目指す基礎的研究の実施や、化学療法などとの併用療法による適応癌種の拡大が検討されている。そういった現状のなか、本研究ではLUBAC依存的な癌内炎症寛容機構を消失させることで、癌の免疫感受性が亢進することを証明しており、癌免疫療法を改善する新たな治療標的の一つを提唱した。さらに、正常組織に影響を及ぼすことなく、炎症環境を利用することで癌の自滅を図る新規癌治療戦略に繋がることが期待され、本研究の成果は今後の癌治療において重要なインパクトを与える。
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